おきがる~なブログ

泉谷パームの駄文、あとはネタなどを載せていったりします。

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ルイはともを呼ぶ! 1-1

かなり昔に書いてお蔵入りになった小説です。

当時はこれでいくところまでいこうとしていました(笑)
で、しばらくしたら同タイトルのエロゲが出てきたりして、挫折。

はは、懐かしい……

ジャンルとしては小学生同士の恋愛ものです。

お暇な方もそうでない方も、読んでいただけたら幸いです。




 春とはいえ、三月下旬はまだ肌寒い日が続く。
 鈴穂公園に咲いている桜は気が早いのか、厚着の人間がウロついているにも関わらず何本も満開に咲き誇っている。学校や河原に佇んでいる桜の木もまたしかりだ。
 鈴穂町は他の住民から変わった町と言われる。ここより少し離れた別の町では全く咲いておらず、この鈴穂町の桜だけが何故か先に咲いてしまっている。
 この鈴穂町というのは近辺では割と広い部類に入る町で、大きく北と南に分かれ、北側には工場や大学など比較的巨大な建物が並んでいるのに対し、南側はほとんどが住宅で、あとは商店街やコンビニなどが建ち並んでいる。
 小学校も「鈴穂北小学校」と「鈴穂南小学校」に二分されているが、児童数は住宅地が並ぶ南側のほうが比較的多い。北側にもそれなりの人数がいるが、南小学校の約三分の二程度である。ちなみに中学校は鈴穂町内には「鈴穂中学校」の一つしかなく、北と南の二つの小学校に通っていた生徒が入ってくるわけである。
 南側の方に大きな公園がある。中央に噴水広場があり、そこを挟むようにしてグラウンドのあるエリアと遊具のあるエリアとで成り立っている。
 ちょうど今は幼稚園児や学生にとっては春休みの期間である。公園内にはちらほらとそのぐらいの年代だろう子どもたちの姿が見られる。
 グラウンドでは小学生くらいの男子が三人、木の上のサッカーボールを見つめていた。というよりも、木に引っ掛けてしまったボールをどうやって取るか悩んでいた。その木は公園の中でも特に高いもので、彼らだけでは取れそうにない。
「どうしよう、高いよ……」
 一之瀬友来は自分が蹴り上げたボールを眺めながら呟いた。
 鈴穂南小学校に通っている彼は、今年の春から小学校六年生。赤茶色の少し長めの髪と女の子っぽい大人しそうな顔立ちをしているために一部の女子から人気がある。サッカー部に所属し、華奢な見かけによらず筋力があり、成績も優秀である。
「ああ、難しいな……」
 青木玲二もボールを眺めながらため息をついた。
 友来と同じく鈴穂南小学校の六年生で、彼とは幼稚園時代からの古い付き合いである。青みがかった黒い髪の毛を長めに後ろに縛っており、クールな顔立ちと性格が特徴の少年である。それに加えて成績優秀、スポーツ万能であるために学校中の女子に人気がある。友来と同じくサッカー部に所属していて、3.0以上ある動体視力を生かしたゴールキーパーとして活躍している。
「ゴメン、玲ちゃん。新しいボールなのに……」
 木を揺すったり、近くにあった棒を使って落としたりしようとしたが、一向に落ちてこない。
「本当にゴメンね――」
 友来は手を合わせながら必死で謝っていた。
「オマエが謝ることじゃない。俺らのパスが下手だっただけだ。そうだろ? ルイ」
 玲二は振り返り、背後にいる銀髪の少年に視線を送った。
 二人と同世代ぐらいだろうか、身長は三人の中でも一際小さな少年は、ふてくされながら玲二の視線を意識的に避けた。
「はいはい、どうせオレが友来に渡すパスをミスったせいでこうなりましたよ。というわけでそこをどいて!」
 銀髪の少年は無理矢理二人の間に割り込みながら、問題の木に近付いた。
「あのさ、ルイ……大丈夫?」
「悪いことは言わん。やめとけよ」
 呆れ顔の二人に対し余裕の笑みを浮かべる銀髪の少年、彼の名前は本条ルイと言う。
 友来や玲二と同じく小学校六年生でサッカー部所属。彼も二人とは幼稚園時代からの幼馴染である。
「大丈夫だって。オレに任せとけ」
 そう言うとルイは地面を蹴り、軽く飛び跳ねた。
その瞬間、彼の体が徐々に小さくなったかと思うと、皮膚が黒い羽毛へと変化していき、両腕は翼の形になっていった。軽い跳躍をしたほんの数秒の間にそれらの変化は完了し、彼の体はどこから見ても完全な烏へと変化した。
 そのままルイは羽をバタバタと煽ぎながら上へと飛び立って、そして木に引っかかったサッカーボールをクチバシで突いて落とした。
「ありがとう。助かったよ」
 その感謝の言葉とは裏腹に、友来たちは不安そうな表情をしていた。
 一方で烏となったルイは調子に乗ったのか縦横無尽に木の周りを飛び回っていた。
「でも、そろそろやめといたほうがいい気が……」
 友来の忠告は無意味だった。
全てを言い終わる間もなくルイの体は瞬時に烏から人間へと逆戻りし、結果として飛ぶことができなくなったためにドシンと大きな音を立てルイはその場から落ちた。
「いててて……」
 尻餅を着いたルイは立ち上がって砂を払い落とした。腕と脚からじわじわと赤い液体が滲み出ているが、本人はそこまで気にしていない様子だ。
「やっぱ三分しか続かないか」
「大丈夫?」
 そう、ルイの変身は何度やっても三分以上の継続はできなかった。
 実際彼がこの能力を使えるようになったのはほんの3ヶ月前、11歳の誕生日を迎えた日である。本条家の人間は遺伝上の影響か、11歳を迎えるとこの力が使えるようになる。そのために当然ルイだけの特権というわけではない。彼の父親、祖父、そして曽祖父から更に昔の先祖から現在に至るまで受け継がれていった。
 しかしルイ自身はこの力を未だ使いこなせていなかった。練習し、大人になれば恐らく三十分は継続できるが、現在の段階では見てのとおりだ。
「ああ、このぐらい平気、っていうかもう慣れたけどな」
 ルイは余裕の表情をまだ絶やしていない。しかし本心はまだ痛みが引いていないことを彼の怪我が物語っていた。
「失敗しすぎだ。へんなことでこっちをヒヤヒヤさせるな」
 苦しいはにかみ笑いをしているルイに冷たいことを言いながらも、玲二はズボンのポケットからティッシュを取り出してさりげなく渡した。
「悪いな、玲二。ってあれ……?」
 擦りむいたところを拭いているルイの視線が突然公園の外にいった。
「どうしたの? ルイ」
「悪い、先に帰ってろ」
 そう言ってルイはそのまま走って公園から出ていった。声をかけて止める間もなく、残った二人は呆然とルイの後を見ていた。
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